「つくば環境スタイル」への意見
     
〜「自転車都市つくば」に向けて




 2009年5月13日〜6月12日に「つくば環境スタイル」行動計画(案)に対してのパブリックコメントが募集されました。
 これに対して折角の機会ですので下記のコメントを応募することとしました。

 コメント全文

計画書で「2030年にCO2半減」と言う目標を掲げていますが、TXが開業しつくば市の人口が増加傾向の中、研究学園駅への快速電車停車を要望し、研究学園駅周辺の企業等の新たに誘導を行っている等の現状を考えると、発展途上都市としてのつくばのCO2はさらに増加傾向になるとも想像されます。

 このような状況で、目標の達成にはもっとメリハリをつけて特に有効性の高い施策を重点的に行うべきと思います。

緑豊かなつくばを愛する市民の視線に立ち、全員参加型のエコ推進を行うためには、横並びで各施策を計画するのではなく「自転車都市・つくば」を目指す方策を重点施策として実施することが特に有効と思えますので、目玉として計画することを提案します。

資料では、運輸部門からのCO2の削減策が計画されていますが、エコカーを徐々に増やしても車は基本的にエネルギーを消費する乗り物なので、エネルギーの消費量を大きくは減らすことが出来ません。最近新聞等で、使えるものを廃棄し、新しいものを生産する必要になる施策は増エネという意見も出始めています。このような中、エコカーをも含む車全体の利用を減らすことが重要と思います。計画書の中でも、自転車道の整備、市内バス路線網の再編等が計画されており、肯定的に受け取りますが、これらはエコカーの普及等よりも格段にプライオリティの高い施策であるべきです。なぜなら、車⇒自転車、車⇒バスという交通手段の変革を誘導する施策は、車自体の総量を減らす施策なのですから、エコカーの推進よりもよっぽど効果的であるはずで明記すべきです。

さらに、自転車への転換での副次的な効果として、市中心部の交通量の増加、渋滞を緩和し、快適な都市へと変えることにもつながります。また、車中心の社会はアメリカのように治安も悪くなりますので、都市の安全化の観点からも好ましい方向と言えます。

以上の理由から、つくば市民の足を車中心から自転車中心へ誘導し、車(エコカーを含む)と言うエネルギー消費型の交通手段からの脱却を目指すことを中心の目玉施策とすべきと考えます。

具体的には、下記を提案します。

(1)研究学園駅を中心とする半径3kmのエリアに緑豊かな自転車道網の整備

車に変えて自転車、バス、トラム等の代替移動手段が考えられますが、当方のドイツでの生活経験を踏まえると、特につくば市民の足として定着しつつある自転車を中心とした交通網を中心に考え、車に可能な限り乗らない生活を推進するのが有効と考えます。比較的平坦なつくば中心部の地形も自転車中心の街の構築に適しています。

特に研究学園駅を中心とする半径3kmの新しいエリアに自転車道を網目のように整備することは交通量の減少(or増加食い止め)に効果絶大と考えます。素晴らしい木立の中の自転車道を研究学園駅を中心とするエリアにも張り巡らせるべきです。研究学園の南側北側の広いエリアで住宅や工業施設が広がろうとしていますので、新しい移住者の生活パターンの定着を良い方向で図らないと手遅れになる可能性もあります。

(2)自転車/バスネットワークの構築

自転車を中心としつつもバスで自転車を補完する交通ネットワークを整備するべきと考えます。特に、「バスへの自転車乗り入れ」がつくばには極めてフィットしていると思います。

ヨーロッパで実施しているものですが、追加料金でバスへの自転車の乗り入れを可能にすべきです。自転車の最大の欠点である日没後の安全の問題や天候(暑さ、寒さ、雨風等)の変化等への柔軟性を格段に増すことが出来ます。遠くの公園まで自転車で行くような時、バスで帰る等を選択出来れば、安心して自転車で遠出も可能です。

自転車マップなるものを見かけますが、上記の視点で自転車、バス、TX等の全ての交通ネットワークが自転車中心で一望するマップが必要です。

(3)基幹路線バスの「直通化」と「高頻度化」

現状バスは本数が少ないのはもちろんですが、つくば駅で乗換え待ち時間を長く要したり、かなり不便です。乗車料金を抑えるトランスファーチケットを導入したり、東京の地下鉄のように直通運転化にすべきと思います。

例えば、並木、梅園あたりを通るバスが、つくば駅を経由しさらに研究学園駅を経由し東光台に抜けるような直通運転をすることで各々の地域からダイレクトアクセス可能な地域が格段に広がり各地域の利便性がぐっと高まり、結果としてバス利用者の増加を促します。並木からiiasに行く人は多くの人が現在は乗用車を利用していると考えます。しかし、このようにバスの直通化を行えば、乗換えが必要でないので気軽にバスを使えるでしょう。バスからTXにわざわざ乗り換えてiiasに行くような人は現在少数派と想像します。A地区〜研究学園駅〜つくば駅〜B地区 というタイプの頻度の高い基軸路線を3−4本きちんと作るべきと思います。 

(4)公共機関、研究所等職員の率先したバス、自転車通勤

公共機関や研究所の職員ですら公共バスを十分利用していないと言う実態には注視すべきと思います。市内で働く職員が使わないようなバス路線は欠陥と言わざるを得ません。そのような状況で基軸路線の高頻度化が実現できるわけがありません。各職場が持つような個別シャトルバスなどは原則禁止し公共機関としての路線設定で共有化するべきと思います。市内就労者のバス利用を大幅に増やし、結果としてバスの頻度向上をもたらし、市民にとってのバスネットワークの利便性を高めるという循環を目指すべきです。企業バス、学校バスも極力共通化しこのような効果を上げるべきです。

新市庁舎を建設中でありますが、エコを推進する側の市職員がその裏ではコソコソと車通勤するような形骸化した施策となることがないように利便性の高い自転車/バスネットワークをきちんと整備すべきと思います。

(5)自然協調型の自転車道の構築

自転車道や歩道の上に屋根をつけるのは断固反対致します。自然の多いつくばの魅力も半減するマイナス施策ですらあるように思われます。つくば中心部の木立に囲まれた自転車道は素晴らしいと思います。そのような自転車道を目指すべきで、ポリカ−ボネートの屋根つきの自転車道など通勤で使いたいとは全くもって思いません。中高校生が自転車で通学していますが、人工工作物で雨風をしのぐような環境の中で育つ子供に、エコの発想は芽生えないと思います。自然と触れ合える心豊かな自転車道、歩道を整備すべきです。また、真夏の森の中は水分の蒸発と共に気温が下がることが知られています。単に雨だけしのげれば自転車道は良いというのは合理的ですらもありません。自然との調和を重視すべきと考えます。

(6)つくば市サイクルマイレージポイントの導入

つくば市サイクルマイレージポイントを提案します。専用の距離メータを配布し、距離に応じて容易に商品券(or地域通貨)等に交換を出来る制度を作ってはいかがでしょうか?「自転車に乗れば元が取れる」という考えを定着させるべきです。単に環境施策のみならず、市民の健康施策としても機能すると考えます。健康施策は、各家庭で病院にかかる割合も同時に減らせますので医療費削減にも効果的であったと言う例は他の市町村でもあると聞いています。

(7)リサイクル自転車

自転車置き場が放置自転車(or盗難乗り捨て自転車)で占拠されている光景を見ます。定期的に自転車置き場を整理し、自転車は再整備しリサイクルで格安で市民に販売する等の施策をすべきです。自転車を製造するのにもCO2は発生しています。モノを大切にするようにしたいものです。

(8)駅周辺のパーキングへの課税

駅周辺(つくば駅、研究学園駅、万博記念公園駅、みどりの駅)の自動車パーキングはタバコのように課税し、市中心部へのアプローチのバス、自転車利用への転換を図るべきと思います。得られた税金は緑豊かな遊歩道や自転車道の整備に充てるべきです。環境負荷をかけている市民が、環境改善のための負担をするというのが公平な正しい姿であります。新市庁舎もパーキングが設置されるとお聞きしてますが、駅前パーキングとしてあまり低料金に設定すべきではありません。市役所職員の利用もビジター同様であることは言うまでもありません。

(9)自転車ルールの標示

自転車の交通量が増えると現状の自転車道でもやや混雑する可能性があります。ルールを徹底するとともに、自転車道をもっとわかりやすくする必要があります。例えば自転車が左側通行であることすら知らずに正面衝突しそうになることが良くあります。学校においてももっと自転車ルールを徹底してほしいものです。自転車道に矢印を記載するなど自転車道の内側で右側通行、左側通行を徹底し、歩行者と自転車の分離を図る必要があります。歩行者にも歩くべきところを徹底しないと事故につながります。これはドイツが大変参考になると思います。私の近所では北大通りの延長のiiasまで通じる道で、歩行者と車の分離がされておらず大変危険と思います。歩道が杭で3つに分離されていますが、このために自転車がどこを通ればいいかますますわからなくなって大変危険です。ある程度の幅がある歩道なのに混乱が生じている例であり、ちょっと配慮して道を作れば貴重な税金を無駄にせずいい道が作れます。

(10)自転車購入補助

P.105にクリーンエネルギー購入補助の施策が出ておりますが削除が適当と思います。合理的と思えません。未だに車を使い続けると言う反エコの人よりも、自転車を使うエコの人のサポートを優先すべきです。また、エコカーを購入出来る所得レベルを持った人に集中的に補助を出すよりも、むしろ自転車への補助の方が、庶民を対象とする市の税金の使用先としてふさわしいと思います。市民のマジョリティの環境意識を高めるのにも有益であります。

以上

 緑の街 つくば Tsukuba Green City 
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